まるで、

TOP



 すんでのところで逃げを打つ往生際の悪さが鬱陶しくて、両掌を両掌で捉えてベッドへと縫い止める。拘束に驚いて動きを止めたのをいいことに、充分に濡れたそこへと無理矢理押し入った。
「ぃ、あ……っ」
 堪え切れず漏れた声も伏せられた瞼に震える睫毛も、びくりと打ち震える細い身体も、痛みばかりを示すものでは決してない。
 むしろ、
「……っひ!? やっ、あぅ……んんっ」
 軽く揺すってやれば、それだけで声はあっさりと悦楽の色に染まった。素直な反応を快く、組み敷いた女の性情そのものについては忌々しく思いながら、押さえ込んだ掌が耐えるように強く握られていることに気付いた。
 さながらそれは、縋り付くような。
「……ねえ、あなた。本当に慎みがないと言いますか」
「っ、なに、言って……ッふ、ぅあ!」
 さらに中を抉ってやれば嬌声はさらに高いものへと塗り替えられ、成り行きのように組み合わされた掌に込もる力もまた強まった。
 その様子を鼻先で笑うと、朱に染まった耳元へと口を寄せる。
「……これではまるで、恋人繋ぎのようではありませんか?」
 乱れた息で反駁すら紡げぬ相手は、憎悪ばかりの籠もる瞳でこちらを睨んだ。


TOP