6th past
「君の両親の話?」
「あ、はい、です。和さんなら、もうちょっとなんか知ってないかな、みたいな」
「いやあ、私も架禄ほどはなあ。……と言われて引き下がるようならわざわざ私のところには来ないか」
「えへへ。そうなんです」
「……と言ってもあまり期待されても困るかな。本当に、あまり語れることはないから」
「まあまず君は母親似だろうね」
「はぇ。……え、そうなんですか?」
「おや。初耳なのかい」
「う、うーんと、そもそもそういうどっち似でどうこうみたいな観点が思えばびっくりするほど出てこなかったなみたいな……そうかぁ、お母さん似……」
「似たもの夫婦という言葉もあるから、なんとも言えないけど」
「……わ、私のお父さん結構なアレって話聞いてるんですけど」
「結構なアレ」
「結構なアレです」
「二人共一途な性質だったように思うからね。そういうところかな。君も割とそうなんじゃないか」
「ま、まだわかんないですよーそんなそういうのは」
「ははは。まあ、初恋は実らぬものという言説もあるし、あまり引きずらずに行った方がいいぞ」
「あうー……」