うだうだ雑談

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うーん、と散桜くんの唸るところによれば。
「…シャインが、不定期日雇いでも働いてくれるのはいんだけどね」
「今月はどうなりそうですか」
「シャインの収入が読めないからわかんない。いっそ遠川家でも広野家でもいいから、この際隠し子ってことにしちゃえばいんだよ、ちゃんと官位貰って有事官でイケるから」
 個人的な雇われじゃん、安定しないんだよねぇってそれだけが気がかりのように。
 何気にこいつすげぇこと言うなァ、って、声には出さないナイトさんでしたけど。広野家は年齢とツテ的にキツそうだ、遠川家もそうだし礼瀬ですら遠川姓貰えてないんだからもっとややこしそうだなあそこは、藤谷家が一番無難だろな景斗と腹違いってことで、とかって、真面目にシミュっちゃうあんたもどうなのよ、ってなもんですが。
 すみません、って申し訳なさそうなのはラズリさんで、ブラッドが見たらひっくり返りそうなしおらしさで。
「私、働けませんで」
「や、ラズリ働きに出すわきゃいかないでしょ。ブラッドが二倍働くからいいの、責任取って」
 でも、と言い募ろうとするところに、
「ら、ラズリさんは、絶対安静なんですっ」
 って、宵姫ちゃんにまで言われちゃ、何も言えないラズリさんなのでした。
 ちなみに宵姫ちゃんは散桜の厳命で、常時おるすばんです。過保護だよって言う彼女ですが、絶対危ないから駄目って言う彼ですが、ナイトさん的にはどっちも一理で、でも子供組まとめて面倒見てもらってる宿に一緒に放り込んじゃっても、問題はないんじゃないか、とも思うのです。現にディンは立派になったし。
「…まあ、いつ離れられるか、だな」
 親離れ子離れとかの問題だったら、むしろ楽だったんだろうなァけど、って思うわけですが。まあ本人気付くまで、ってあくまで聞こえないように。
 そのときでした、ナイトさんの耳が、いやだァ帰らない、とか、こんな耳もいでやるー、とかって阿鼻叫喚をとらえたのは。

 で、連行されてきたシャインさんには、随分とかわいらしいオプションがついていたワケですが。
 なァにそれ、ってな散桜くんに、泣きたいみたいなカオで、おっさんが、春雨が、って、要領を得ないシャインさんの代わりに説明したのはマリンさんで、それ聞いた散桜くんは、意外とやるなァこいつって目で雪白くんを見て、宵姫ちゃんは、春雨ってなに、春の雨じゃないの、って目丸くして、そんな宵姫ちゃんに懇切丁寧に春雨について説明してあげる散桜くんの隣で、まあ一番大変だったのは、ってルドさんは。
「婚姻届の方だったけどな」
「こっちにはないから、いまいちぴんと来なかったが」
 有る無しは兎も角たまたま持ってるのってどうなの、って懐疑的な散桜くんです。第一男同士ですよね、って、当時は今更に過ぎた、けど常識的、な感想を抱いたラズリさんでしたけれど。
 どっちが嫁なんだ、って、どうでもいいこと訊いたナイトさんには、さあ、とか、どっちもっぽい、とかって、適当な答えが返されましたが。 まあどっちも中性的だのへタレだの言われまくりですし。猫耳でしたが。
 とりあえず、最大限沈んでる、つかスネてる当事者は。
「…家、出たくない…」
「…まあ、気持ちは分かるけど」
「…ていうか、誰にも会いたくない」
 それ聞いた散桜くんは、聞き捨てならないってカオして、それはダメ、って。
「…ダメって」
「そういえば予定入ってたな、今日」
 シャインさん、余計なことを、ってナイトさん睨みつけますが、当然通じませんが。
「あ、今日あるの、しっかりお金ぶん取ってきてよね」
「いやちりりん、コレですよ今僕、ていうかマジか」
「マジだよ。ちゃんと稼いでね」
「…あの、僕が今一番会いたくない相手って誰だと思います」
 知らないよ、ってバッサリ斬って、爽やかに素敵に、それはもう容赦なく。
「いっそそれ生かして稼いで来たらどうなの、見せ物小屋とか陰間とか」
「いや陰間はマテ」
 とっさにツッコミ入れたのはルドさんですが、見せ物小屋にはツッコミ入れてくれないのってシャインさんですが。陰間ってなに、って疑問符浮かべる宵姫ちゃんと雪白くんに、きっぱり答えられるひとはいませんでしたが。
 こんな会話聞かせて大丈夫なんでしょうかね、胎教とか、って、密かに懸念を抱いたラズリさんでした。


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