クライマックスフェイズ ラウンド5


【水波カオル】 「さ、誰から来るんだい?」

奏は影分身の結果、5を選択する。

戦闘参加:カオル、奏、大輔、健司、依理 逆凪:なし 脱落:真琴
プロット 死地
        依理   奏、大輔、健司 カオル  


プロット6:カオル


【水波カオル】 ……痛打も獣化も要らんな、龍星雨。召喚術5です。 

【カオルダイス】 (2D6 → 6 + 6 = 12)

【室戸 健司】 おおい。

【黒井 依理】 ちょっと待て。

【鏡月 奏】 ……通ったら死ぬな。どの道、回避できなきゃ死ぬ。

【水波カオル】 スペシャルなので、ダメージダイスを。

【カオルダイス】 (1D6 → 2 = 2)

【水波カオル】 どちらにせよ2点ですね。

【黒井 依理】 地の利8で回避!

【檻姫 大輔】 召喚術(隠)5。

【室戸 健司】 素でー、鳥獣術7で回避。

【依理ダイス】 (2D6 → 2 + 1 = 3)
【大輔ダイス】 (2D6 → 3 + 1 = 4)
【健司ダイス】 (2D6 → 3 + 2 = 5)

【檻姫 大輔】 いちたりねー。

【黒井 依理】 えーと 神通丸。

【室戸 健司】 死ぬ死ぬ、つ神通丸。

【依理ダイス】 (2D6 → 4 + 1 = 5)
【健司ダイス】 (2D6 → 5 + 4 = 9)

【室戸 健司】 よし、回避。

【黒井 依理】 死なないけどんーと ダメージ3点? 器術、妖術、謀術を潰す。

【檻姫 大輔】 うげえええ、と召喚が間に合わなかった。隕石の中に巻き込まれて。
「っつ、ってェ……いってーなこんちくしょう」ダメージ3点だって?戦術と器術潰すよ。

編集者より注。このダメージは本来2点であるが、
痛打やスペシャルの効果を混同したGMPL一同が間違いに気付かずそのまま進行してしまった。

【水波カオル】 回避せずに悪食。兵糧術5

【カオルダイス】 (2D6 → 1 + 3 = 4)

【室戸 健司】 凪乙ッ!

【水波カオル】 まあ回避を試みてたとしても結果は同じですね。
カオルが刀を振るうと再び隕石群が皆に襲いかかり――自分もそれに飲まれていきます。

【鏡月 奏】 依理は私に感情修正いれてくれんかい?

【黒井 依理】 奏の回避に感情修正+1。
「――くっ、うぁ!」今度は避け切れなかった。
湧き上がった隕石を受け地を転がりつつも、視線の先は。
「奏ちゃん!」

【室戸 健司】 先の隕石群を受け止めた忍犬は、衰えぬ獣の感覚で逃げ道を敏感に察する。
自分もその後を追って攻撃範囲から逃れて。そこから振り返る先は、
「――奏!」

【鏡月 奏】 回想シーン使って回避するよ。
「……月読…」

PC1 鏡月 奏
【使命】:文化祭を無事終わらせる
【秘密】:実は、あなたは水波カオルの幼なじみだ。
あなたは幼い頃、ふざけてカオルと結婚の約束をしている。
そのときカオルは、あなたに「『ずっといっしょだよ』と言っててプロポーズしてね」と告げている。

【鏡月 奏】 植えつけられた記憶ではなく、月読と奏は実際に幼馴染でした。
魔獣妖獣を体内に封じた奏の親は、一時隠忍の元にいたことがあったのです。月読とはその時に知り合いました。
奏自身はあまり覚えていませんが、隠忍のところから出てハグレモノとして忍びの修行を重ね、実親の死と共に受け継がれた結界を体内に宿し、
隠忍よりも尚禍々しいものと忌み嫌われながらも、その姿を嫌わなかった幼い日の友人を、ずっと想い続けていました。

【鏡月 奏】 そして。あの日、任務の果てに月読と出会い、奏は結局、戦うことを拒みました。――結果、依理は死に、楽園に奏自身も飲まれたのです。
誰もが仲良く存在している世界は、月読が奏のことを思ってそうしたのか、
それとも術者側に傾いていた奏の意思が多少なり反映されていたのか、あるいはまったく関係ないかは解りません。
ただ――

【鏡月 奏】 「『ずっといっしょだよ』。……忘れていなかったよ、私は…」
その言葉を、解除の「合言葉」にしたのは、彼女の意思ではありませんでした。
彼女はこの楽園でただ一人、楽園が楽園であることを望んでいたから。
回避判定に+3。判定は生存術から11。いきます。

【奏ダイス】 (2D6 → 6 + 6 + (3) = 15)

【鏡月 奏】 ………………よもや。

【黒井 依理】 仲がよろしいことで。

【水波カオル】 やるじゃあないか。

【檻姫 大輔】 なんだってー……。

【室戸 健司】 素晴らしいね!

プロット5:奏、大輔、健司


【鏡月 奏】 クリティカルヒットの奥義「赦肉祭」。流星雨の中を弾丸の如く駆け抜けて、カオルと自分に、転送印を直接刻みます。
……絶対防御は使いますか?

【水波カオル】 そうだな、使いましょう。指定特技は刀術です。

【黒井 依理】 骨法術6で破る。

【依理ダイス】 (2D6 → 3 + 4 = 7)

【黒井 依理】 「……いい加減、往生際が悪いよ!」
転がりつつも受け身を取って、そのまま地を蹴る。カオルの「月読」を握る腕を取り、捻り上げようと。

【水波カオル】 腕を取られるまでもなく、刀を振るって依理を弾き飛ばします。しかし、その動作によって生まれた隙が奏の接近を許してしまいますよ。

【黒井 依理】 「っ、」弾き飛ばされて地面に身を打ちつける、今度は流石に受け身は取れぬまま。けれど、充分だ。

【諸星 真琴】 「ぁ……いや……」倒れたまま、縋るように月読に手を伸ばしますが、届く筈もなく。
「月読様ぁ……死んじゃ…い、や……」その瞳からは涙が溢れ。

【室戸 健司】 「……どうかな。」
奏が動くのであれば、結界に飛び込みかねないが故に動けず、結界に干渉してしまいかねない呪符も抜かない。
ただ、真琴の言葉へ一言を返すだけで。

【鏡月 奏】 接近すると同時に、カオルへ転送印を刻みます。移動先は、もちろん奏の体内に封じられた、魔獣の満ちる結界内。
寂しげに微笑んで「……ごめんね。待たせちゃって」自分にも、カオルに刻んだのと同じ転送印を刻みます。

【黒井 依理】 間近から奏の動作を認めて、目を瞠りますよ。言葉を発するような余裕はありませんが。

【水波カオル】 じゃあ、その場に居た面々からは2人が急にその場から消えたように見えるのかな。
当のカオルはと言えば、「……いいや、こちらこそ」

【GM】 では、カオルは生命力が0となって―――します。

誰も見破ることの叶わなかった、奏の奥義。
それがどんなものであるかを知るのは倒れ伏す真琴と、術の対象となったカオルのみ。
他の誰もが彼女の意図を掴むことのできない、その一瞬の間に。
二人の姿は、戦場から消え失せていた。


【GM】 これにてクライマックスフェイズを終了します。

Epilogue 1.室戸 健司(PC3)


【室戸 健司】 まずは上司のところに帰って時檻を献上しようか。前回とは違って不承ではない、しかし何か物足りないような、そんな顔だが。
「――公安隠密局第八組、室戸健司。忍務より帰還致しました」

【GM】 ふむ。では、みなさまお馴染、比良坂機関上忍の榊鏡一郎が健司を出迎え労いますよ。
榊「ご苦労様でした。随分、苦戦されたようですね」

【室戸 健司】 「はい。……鞍馬の手練十数人を蹴散らしたあの実力、一度は不覚も取りましたが」
言いながら、時檻の秘伝書を差し出す。「……秘伝書はこの通り、こちらに」

【GM】 榊「……確かに。悪用される前に回収できて良かった。麻生局長も喜ばれるでしょう。随分心配されておりましたから」

【室戸 健司】 悪用、という一語には僅かながら複雑そうな顔を見せたが、そこには深く執着することなく。
「……どれくらい時間が経っていたか、聞いて僕も驚きました」
上司との対面で緊張感のあった表情が幾らか和らぎ、苦笑めいた笑いに。「これでは、局長のご心配も当然……いえ」

【GM】 榊「我ら比良坂でも永らく行方を捕捉できず、気を揉んでいた所です。“学園”に次いで失敗し、殺されたのではないかとねえ」眼鏡が不気味に光ります。
「……しかし忍務は成功し、日本の国益は守られた。これからも期待していますよ。――下がってよろしい」

【室戸 健司】 言及されたのは嫌な記憶だ。苦笑するような気力も起きない。
むしろ、ぐっと胸の奥が冷えるような。……しかし、それをわざわざ見せることもない。
「はっ。……失礼します」

【室戸 健司】 そうして上司の前から下がったならば、さっさと家に帰って正装から着替えますよ。今日はもう一箇所、行きたいところがあるんだ。
着るのは学生服ではなく、手に持つのは学生鞄でなく、くぐる門は高校の校門ではない。――大学だ。
新入生祝いがてら、お祭り騒ぎでサークル勧誘の行われているその真っ只中へ。

【勧誘】 「ねえ君、その歩き方、タダ者じゃなさそうだ。 剣道部に入らないかい?」
早速勧誘攻勢を受けるんでしょうね。はいこれ、とビラ押し付けてきたり。

【勧誘】 「入学おめでとうございまーす! あ、これ良かったら後で見てみてくださいね!」と、有無を言わさず健司にビラを押しつけますよ

【室戸 健司】 ひとまず断るのも何なので全部受け取ってる。剣道部の勧誘には、素直に疑問げ。
「……そ、そうですかね?;」そうして手元に積み重なるビラの山。

【勧誘】 「うん、間違い無い。実は経験者だろう、君?」
大学生B「おーい、あんま熱入れて絡むなよー。引かれんぞ」

【勧誘】 「バスケ部どうっすかぁー!興味があったら練習見てってよ!」と、言いながらビラを乗せていくよ。

【室戸 健司】 「いやぁ……僕はずっと生徒会でして、部活の方はそんなにやったことがないんですよ」話している間に、積み重なるビラ。
「……強いて言うなら、ギターをちょっと弾いてたくらいで。剣道なんかは全然」

【勧誘】 「ギターですか? じゃあ是非軽音楽部来てくださいよ! 経験者大歓迎ですよ!」

【勧誘】 「ギター?そりゃ意外――あてて、何をする。」
「振られたと分かったらとっとと引くー。軽音のマドンナの邪魔だろ。ほれ、行くぞ」 
「ぬあー」もう一人に引き摺られて退場。

【室戸 健司】 もみくちゃの危険を感じる、前に。軽音部、の一言に飛びついていた。
「ああ、いいですね。……確か、歓迎ライブ、でしたっけ」
「やってらっしゃいましたよね。会場、どっちでしたっけ?」退場していく剣道部には、ああそれじゃ、とか適当な挨拶を。

【勧誘】 退場していく大学生にひらひら掌を振るよ。
「ああ、ライブですか? そこに書いてありますよ、講堂です! ご案内しましょうか?」
健司の反応にぱっと笑顔を見せますよ、好感触ッ。

【室戸 健司】 笑顔を浮かべて頷いて、一見でなくとも好青年。「はい、よろしくお願いします」

『時檻』は月日の認識すらも、軽く誤魔化してしまった。
密偵であると知れて学園から放逐された後に一年近い基礎修練を積み直し、『時檻』の中で経過した時間を加えれば、
既に高校生ではなくなっているはずの自分を、未だそうであると錯覚させる程度には。

しかし自分は、『時檻』によって作られたあの楽園に、どこか感謝しているのだ。
「周りの学園生はすべて、仇敵であり和してはならない」
そう教えられて真の友人など作ることも出来なかった自分の空虚な学生生活を、『時檻』は埋めてくれた。
少なくともあの中であれば、自分は心の内を打ち明けられる、ほんとうの友人を手に入れられた。

これからの生活は、どうだろう。
「楽園」を抜け出した現実にも、あの楽しさは、誰かと心から笑える楽しさは、待っているだろうか?
――あるだろう、きっと。根拠もないそんな確信を感じながら、手を引かれていく。新しい、生活へ。


Epilogue 2.黒井 依理(PC4)


【黒井 依理】 どっか適当なビルとかの屋上に佇みたい。忍者らしく。
「全く、ボーナスステージに加えてのボーナスステージか。神様も因業なことをするねえ」
「……いや、神様じゃない、か」赤みのかかった長髪が風に揺れる。

【黒井 依理】 「……そーちゃん」風紛れに呼んだのは、あの「楽園」で得て、そして見失った少女の名前。自分を生き返らせると願った少女の名前。
届くことはないその声を、風に乗せて、届くことを願うように。

【GM】 一度目は自分を殺したカオルが、二度目は願いを叶えた奏が。死んだのが忍びの手によるものなら、ボーナスステージも忍びによるもの。
そして――この出会いも、忍びであったことによるもの、ですかね。

【檻姫 大輔】 屋上らしいので扉を開けて来ますよ。見た目的にはあまり変わりないですね。20歳ぐらいだし。
「……よっす」久々なのかなぁ?

【黒井 依理】 忍びの因果って不思議ですね。そうして現れた彼もまた、この忍びの因果を通しての。
「……やあ。久しぶりだ、大輔君。元気だったかい?」
もう先輩とは呼ばず、口調も先輩に対するそれではない。

【檻姫 大輔】 「あぁ。俺は元気だけど……まぁ、ちょっとアパートに居候が……」ごにょごにょ。真琴ちゃんのことですね。
「……依理ちゃんは、元気なのか?まぁその様子を見る限りだと元気そうだけど」

【黒井 依理】 くすっと軽く、笑みを漏らしますよ。相変わらず「楽園」と大して変わりのない彼をおかしく、愛しく感じて。
「元気だよ。今はちゃんと、生きている」

【檻姫 大輔】 「……あぁ、そうだな」生きてる、という言葉に謎の安心感。ちゃんと生きてるんだなあ、と思いつつ。

【黒井 依理】 こつこつ、大輔くんに近付きますよ、下から覗き込むような目線。
「私は学院に戻る」

【檻姫 大輔】 「……そっか。まぁ、学生だもんな……俺は学生じゃないからさあ」
うーん、がしがしと髪の毛かきながら、ぬあぁー、と空を見上げて。

【黒井 依理】 「居候がいるんだろう? じゃあちゃんと働かないとな。家に住まわせていた筈なのに、ヒモ男になってしまっては情けない」
と、くすくす笑います。

【檻姫 大輔】 「……またアルバイトしながら食いつなぐ生活かー……めんどくせー;」
しばらくしたその後、依理の腕を掴むよ。

【黒井 依理】 腕を掴まれて、軽く首を傾げますよ。笑みを口元に保ったまま。

【檻姫 大輔】 ぐっ、と。感触を確かめているような握り方。
「……うん。ちゃんとここにいる」夢じゃねえ、とか思いつつ確認している。
「……ん、なんていうか、その。あんまり危ないことは、するなよ?忍びだから仕方ないとはいえ……」うん、と頷きながら)

【黒井 依理】 「はは。同じ言葉を返すよ。地味な忍術でもちゃんと修練を積むんだぞ、これからは?」とかなんとか、おかしげに笑って。

【檻姫 大輔】 「――わ、悪かったな。」ちくしょう、と二回連続で失敗した分身のことを思い出して。
「……こ、今度はちゃんと成功させてやんよ」むうぅ、と迂闊だったなあと。

【黒井 依理】 「期待している。――それにしても、全く。確認の方法が、幾らか無粋じゃないか?」
と、腕を掴まれたままですが、大輔に抱き付きますよ。

【檻姫 大輔】 「……え、――ッ!?!」依理に抱きつかれて、硬直。抱きつかれたということを認識するとびくん。
「あ、えー、えと、」自分からはがんがん攻めていくわりにあまり慣れていないのであった。混乱なう。

【黒井 依理】 「確認するなら、こっちの方がいい。……腕だけで、足りるものなのかい?」とな、抱き付いた胸に頬を寄せつつ。

【檻姫 大輔】 「う、うぐ、」そりゃもっともだが、そりゃその方がいいのだが。
「……く、そぉ。」一本取られた、とか内心思いつつ依理を抱きしめ返す。
「……、生きてる」十分に確認している。

【黒井 依理】 「そう、生きてる」抱き締められて目を閉じてから、数瞬ののち。
するりと大輔の腕から脱け出て、擦れ違うように屋上の出口まで向かう。
「……生きているよ、ちゃんと。だから安心するといい」背中越しに。

【檻姫 大輔】 するっと抜けだした依理を目で追って、追いきれなくなってから振り向いて。
「……ああ」ひらり、と手を振る。

【黒井 依理】 「……じゃあ、頑健で」
それが見えているかのように、こちらも手を振り返しますよ。
また会えるかとか、これからのこととか、そういうことは一つも言わぬままに。大輔を残して、屋上から消えます。

【檻姫 大輔】 人のいなくなった屋上、はふー、と溜息をついて。「……うおー、バイトって、めんどくせーっ」
それを思うと学園祭前日を続けてる方が楽だったのかなあ、とは思うが。
「……まあ、変化の無い日々ほどつまんねーもんは、ねーよなぁ。」

変化のない日々。退屈ではあるが、それが壊れてしまう不安もない日々。
その中にいれば幸せだったのかもしれない、と思える日が、いつか彼女らの頭上に影を落とすのかもしれない。
それでも彼女達は選んだのだ。その檻の中から抜け出す道を。
――『清陵学園軽音楽部』としてではなく、ひとりひとりが個として、それでいて緩やかに繋がる道を。


Epilogue 3.檻姫 大輔(PC2)


そして彼は、またひとつ非日常を抱え込む。


【諸星 真琴】 「……月読様っ!」がばっと起き上がります。そしたら小汚いアパートの一室。あれ?と辺りを見回します。

【檻姫 大輔】 んぁ、起きたー?」ベランダからがらがらがら、と扉を開けて出てきたのは大輔君です。
「いやー、なっかなか目覚めないから死んだのかと思った。」

【諸星 真琴】 「テメー等、よくも月読様を……っづぅ?!」
ベッドの上で武器を出し、構えようとしますが、当然没収されてますよねー。

【檻姫 大輔】 「あぁぁああちょっ、ちょっ、お前その怪我で動くんじゃねえ、あんまり暴れるようなら縛るぞ!?;」あたふた、と。

【諸星 真琴】 怪我の痛みで再びベッドに崩れ落ち、観念したように「……月読様は。」

【檻姫 大輔】 「……月読、なら。奏ちゃんと……そうだな、……目の前から、消えた。その表現が一番正しいだろ。」
戦闘を終わらせたその事態を思い出しながら。「……生死どころか行方さえ不明だ」

【諸星 真琴】 体勢としてベッドにうつ伏せで身を投げ出してる感じ。
「消えた……奏ちゃんの、あの結界の中だ……」身の毛もよだつ体験を思い出し、ぐっと布団を握り締め。

【檻姫 大輔】 「奏ちゃんの、結界?」そんな奥の手があったのか、と思いながらあまり詮索はしない。

【諸星 真琴】 「……何でボクを殺さないんですか。ボクはセンパイ達の敵ですよぅ?」

【檻姫 大輔】 「……あ?あぁ、別に俺は殺しが好きなわけじゃねーし」朝飯いるー?と冷蔵庫をぱかっと開ける。
「あと、俺が女の子に優しいのはお前も知ってんだろ?これまでの記憶は持ってんだろ?」他のヤツは知らねえ、と言って。

【諸星 真琴】 「……いちおー、知っていますけど」顔だけ大輔の方を向けて、変わらずぶすっとした顔。
「朝ご飯よりも先に、ボクの武器を返してくれません?……別に今更センパイに危害は加えませんよぅ」

【檻姫 大輔】 「んぁ、武器?あぁ、いいけど……」
部屋を見回すと、ギターが外に出ているのが見えますね。
その横に置いてあるギターケースをぱかっと開けると真琴の持っていた大振りなクナイやらなんやらがたくさん出てくるよ。
「……そういえば、お前の忍術全く見てない気がするんだけど気のせいか?(←)」

【諸星 真琴】 「テメー等のせいでマトモに攻撃出来なかったんですよぅ!あぅあぅ、ボクの陽炎殺法が……」

【檻姫 大輔】 「陽炎殺法」ほうほう、と目を輝かせている。「それってかっこいい?派手?」(……)

【諸星 真琴】 ぶーぶー言いながら痛む体を引き摺り、ギターケースへ。中から手に馴染んだクナイを取り出すと、向かうは玄関。
「……じゃ、檻姫センパイ、一応礼だけは言っておきますよぅ」

【檻姫 大輔】 「――そういえば、お前これからどうすんだ?その怪我じゃどこにも行けねぇんじゃないのか」
「……しかも仕えてたってことは、これから行くとこもねえんじゃないの?」

【諸星 真琴】 「……鞍馬の廻鴉を抜けてまで、月読様に着いて行ったボクにとって月読様のいない世界なんて有り得ない……」
ちらり、と振り返る。生気の無い、完全に生きる希望を見失った瞳。彼女はこれから自ら命を絶とうとしているのだ。

【檻姫 大輔】 がっ、と強引にクナイを持っている方の腕をひっつかもうとするよ。
「――馬鹿野朗。自分で自分を殺すことほど哀れで悲惨なことねーだろーが。俺の目の前にいる限りんなことさせっかよ」

【諸星 真琴】 「うるせぇですよぅ!センパイなんかにボクの気持ちなんて分からないくせに!」
「大好きな人にその想いを告げれて!そして結ばれて!ボクは、ボクは……!」腕をつかまれたまま、泣き崩れます。

【檻姫 大輔】 「……んんー;」また失言してしまった、とちょっと困り気味。
「……と、とにかく、俺は自殺だけは阻止する。その代わり何か自分でしたいこととか、そういうの決まるまでここにいていいから、な?な?」
「……くっそ、女の子って難しいなあ……!;」

【諸星 真琴】 「ボクがっ……どんなに頑張っても……月読様の心は……奏ちゃんの物だからっ……!」嗚咽交じりの声。
「チクショウ……もう、こうなったら暫くの間檻姫センパイにうっぷん晴らしも兼ねて迷惑かけてやるんだからぁ!」

【檻姫 大輔】 「迷惑かけられんのッ!?;」がびん、とショックを受けつつ。
「……あ、あと、アレだ。三食用意ぐらいはしてやっけどな、それ以外の金は自分で稼ぐんだぜ、わかったかァ!?」

【諸星 真琴】 涙目で嗚咽も止まってはいないが、その顔にはいつかのニヤニヤとした笑みが。
「ふっふっふ〜……そうと決まれば、早速『こっちでの』檻姫センパイの噂を収集しなければなりませんねぇ?」

【檻姫 大輔】 「――うっげ。マジかよ」だらっ、と冷や汗が流れて。

非情な忍びの世界にあって、甘いと笑う輩もいるだろう。
仮にも鞍馬の忍びが、危険を冒してまで廻鴉の抜け忍を匿う必要がどこにある。そう問う者もいるだろう。
しかし彼らにとってそれは本質ではない。そんな問いには、何の意味もない。
なぜならその理由はただ一つ、――『仲間だから』ただ、それだけなのだから。


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