Cronica Y Neillnail
褐色の肌に刺青のような紋様を浮かべた一本角の男。
背の丈は170に満たない程度。少年とも青年ともつかない容貌。
仄明るい朱の瞳にゆらりゆるやかに感情を覗かせる。
混血の一族"ニールネイル"に生まれたY。
長い耳を持ち、角を持ち、時に生き物の血を啜ることもするが、
エルフでも鬼でも吸血鬼でもない。
ただ、あるいはその血を幾らか含んではいるやもしれない。
"ニールネイル"はそういう一族だった。
あらゆる種と子を成し、多種多様の血を取り込み存続していく。
混ざる血の種類は多ければ多いほどいい。
一つでも多くの血を得て、"ニールネイル"は繁栄に近づく。
そういう考えの下に生まれ、育った者が、一族を、世界を飛び出してテリメインに辿り着いた。
たったひとつだけでいい、大切なものを見つけるために。