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目次

■クライマックスフェイズ

【GM】
東の峰から昇る陽が、山の木々の葉を茜の光で染める頃――。
【花冠】
狩人の足取りは変わらない。
常の通りに歩みを進めて、差し込む光は笠を照らして、
ただ今日はまっすぐに目標を目指す。
【GM】
木々がうっそうと茂る中でも、そこだけぽっかりと開けた場所
そこは一週間ばかり前、森の暴君の赤兜を打ち倒した場所。
【花冠】
乱れ倒れた木々の合間から既に新しい息吹が芽吹いて。
【フィン】
竜は昨晩と同じ場所に佇み、中空を両手でぶんぶんと引っかくように振り回していた

【フィン】
「貴様か」
【花冠】
「ああ。待たせたな」
「……何をしている」
首を傾ぐ。
【フィン】
「先日の熊の霊だ 我が身が弱ったと見て、憑き殺そうと襲ってきたので霧散させたまでだ」
【花冠】
「………」
「そうか」
【フィン】
「死んでなお死に切れぬ まこと弱き生き物よ」
「貴様は、こうはなってくれるなよ」
【花冠】
「……きちんと食ってやれれば良かったんだがな」
それも叶わなかった、と肩を竦めて
「”こう”ならぬように殺してくれるのだろう」
【フィン】
「殺しはせん 貴様を屈服させ、我が物とするまでだ」
【花冠】
「手荒なことだ」
【フィン】
「貴様が望んだことだろう」
【花冠】
「はは」

【フィン】
やれやれと、両手をどっかり地面に降ろし、花冠を見つめます
「貴様… すぐに死ぬ身体だと言っていたが」
「まさか、怪我をするだけで、命が消えるというわけではあるまいな?」
【花冠】
「怪我のひとつで消えるのなら、とっくの昔に朽ち果てている」
【フィン】
「貴様が傷付くところを、我は未だ見たことが無い」
【花冠】
俺も無敵ではないよと目を眇めて、
左の胸元に指先を寄せる。
「傷痕、がな。ここにある」
「心の臓を抉られればひとは死ぬが」
「俺の場合は、掠められるだけで命を落とす」
【フィン】
「ほう、それが貴様の灯火か」
【花冠】
「ああ。吹けば消える、脆弱なものだよ」
【フィン】
「よかろう そこは外す なればこそ、他の部位には容赦はしない」
【花冠】
「――俺の方は」
「手心は加えない。所詮人の身でな」
「全力で落としてみせる」
【フィン】
「お前はそれで良い」
「我も、実のところ力加減は苦手だ 心の臓の他を掻かれても、死んでくれるなよ」
【花冠】
「さてはて。この身がどこまで保ってくれる事やら」
想像がつかん、と指を弾くと、弓矢を番えて引き絞り。
「……始めようか、竜よ。前口上が冗長すぎるのも興醒めだろう」

【フィン】
四肢を地面に食い込ませ、咆哮を挙げて 構える。
【花冠】
びりびりと音に頬を震わされる中、牽制の矢を一閃放てば、
それが開幕の徴となる。

第一ラウンド

死地
プロット花冠フィン


舞台裏
【GM】
ではプロット4のフィンから先にどうぞっ
【フィン】
プライズ秘密の妖魔化はどのタイミングで行います?
【GM】
あ、そうだ。忘れてた。
本当はクライマックス開幕時にやる筈でしたが今行っちゃってくだされ。

プライズ秘密に従い、フィンヴェナハは戦術を穢れで潰して妖魔化。
妖魔化表の結果は5。
忍法【接近戦攻撃】の攻撃によるダメージが1点増加し、接近戦ダメージ2点となる。

【フィン】
では、竜が2度目の咆哮をあげると 体躯が大きく膨らみ、残っていた片翼が崩れ落ちます
獣化します!
2D6>=5 (判定:異形化)
【ダイス】
2D6 = [5,4] = 9 >=5 > 成功

【獣化】とは凶尾の流派忍法で、判定に成功すると、その後の攻撃に追加で接近戦ダメージが1点乗るようになる。
効果はその戦闘中継続。っょぃ。

【フィン】
四肢の爪が伸び、瞳に嘗ての猛々しさと獰猛さが戻ります それは、彼を睨みつける
【花冠】
ぴりりとした緊張感を叩き付けられて、相変わらずその瞳は凪いでいる。
【フィン】
では、そのまま飛魂で攻撃
2D6>=5 (判定:憑依術)
【ダイス】
2D6 = [2,3] = 5 >=5 > 成功
【花冠】
2D6 >=9 (判定:見敵術)回避判定
【ダイス】
2D6 = [4,2] = 6 <=9 > 失敗
【花冠】
2点ダメージか。頑健を飛ばされる。

【頑健】は生命力スロットを2点追加する装備忍法。
本来の生命力が6点のところに2点増えるわけで、やっぱりっょぃ。

【フィン】
では今しがた落とした翼を尾で飛ばし、花冠を狙い撃ちます
【花冠】
切り裂かれたのは左の肩口。
【フィン】
「あの時も、貴様は面食らっていたな 花冠よ」
【花冠】
血煙が散る。裂かれた疵のその数センチ下、露出した胸元にその傷痕。
最早血も流さない、深く抉られた一筋の傷。
【フィン】
「それが貴様の根源か」
【花冠】
「さて、俺は知らん。……俺にしてみれば」
「この身を、蝕むだけのものだ」

舞台裏
【花冠】
手番に移っていいですかね
【フィン】
どうぞ!
【花冠】
接近戦攻撃ー が 届かない!
【GM】
オウフ
【フィン】
射程短いよぉ!
【花冠】
だから殴ろう!
【フィン】
えっ

【花冠】
■奥義
《マタギの罠》
指定特技 :罠術
エフェクト:クリティカルヒット/伸ばし/威力低下
効果・演出:翼を失った竜とあらば、縛り止めるのは以前より容易だ。

相手の生命力をランダムに4点喪失させる奥義、【クリティカルヒット】。
奥義開発の【伸ばし】によって本来1しかない射程を2まで伸ばし、その代償の【威力低下】により威力は3点となっている。

この攻撃でフィンヴェナハは逢魔時で追加した2点の生命力スロットと忍術を潰される。
妖魔化している間は全特技が使用可能なので、実際のところはどの分野が潰されようが戦況に差はないのだが。

【花冠】
着地した足元に仕掛けを踏み抜いて、
風切り音は既にフィンにとっても聞き慣れたものとあろう。
ただ翼を失った彼女に向け、地を集中して狙うそれに変わっているだけで。
【フィン】
「また貴様の罠か これは避けられんな」 再びその肌を赤い血で濡らしつつも、竜は揺るがない
【花冠】
「専らこれでな。……実際のところ、矢は苦手だ」
隻眼では狙いもろくにつけられやしない。

【花冠】
ではこのままラウンド終末の行動をしても?
【GM】
どうぞっ
【花冠】
では誘導を。
2D6>=5 (判定:走法)
【ダイス】
2D6 = [1,6] = 7 >=5 > 成功
【花冠】
高所へ。

【誘導】は戦場を自由に変更することができる忍法。
変更された先の高所ではファンブルする度に接近戦ダメージを1点ずつ受けることになる。
シノビガミの戦闘に於いては、プロット値がそのままファンブル値になるためなかなかに恐ろしい。
泣きっ面に蜂というやつである。

第2ラウンド

【花冠】
地を蹴り上げ木を掛け、高くまで。
「ここも嘗ては、貴様の領域だったか」
【フィン】
では、その後を追いすがり、木の幹に爪を突きたてながら同じく駆け上りましょう
【花冠】
軽やかな足音に轟音が続く。
【フィン】
「そうだな… もっとも、このように爪を使う必要など、無かったが」
「だが、今や驚くほど体が軽い 貴様の速度といえど、逃しはせぬ」
【花冠】
「心強いことだ」

死地
プロット花冠
フィン

【GM】
同時行動!

ダイスによる判定の結果、フィンヴェナハが先に動くことに決まる。
システム処理的には同時並行の行動である。

【フィン】
まだ花冠さん傷付いてないですよね、頑健の他は
【花冠】
そうですね
【フィン】
では、奥義を切りましょう
【花冠】
ふむ

【フィン】
■奥義
《女王の宴》
指定特技 :異形化
エフェクト:クリティカルヒット/断ち/回数制限
効果・演出:山の女王の食事に作法は無い。
ただただ、嘗てと同じ。
我武者羅に相手を噛み砕き、喰らい尽すのみである。

舞台裏
【花冠】
気の合うことです。
【フィン】
組むときは思いっきり殺す気で組んでたから…
【花冠】
正しいと思うんですけどどうしてこうなった。

【フィン】
住み慣れた樹上ならば、地の利もあるというもの
花冠の隙をうかがい、思い切り飛び掛り四肢を封じる
【花冠】
至近距離、肩の傷で幾らか反応が遅れる。
縫い止められて矢筒が落ちた。
【フィン】
「では、死んでくれるなよ」
【花冠】
「はは」
泰然と笑って。
【フィン】
そういうや、フィンヴェナハの眼の色が変わり、首を大きく振るう
彼の心臓付近を除く全身という全身へと噛み付き、喰い荒らし、これを鮮血に染め上げた
【花冠】
噴き上がる赤は鮮やかに。
染め上げる色は紅葉にも似て、
その瞳は力を失わないままに。
【フィン】
「お前の血は… 意外と他と変わりない味なのだな」
口を紅で濡らした竜がこともなげに話す
【花冠】
「……った、ろう。所詮、人の身と」
【フィン】
「屈服しろ その傷ではもう戦えまい」

花冠の奥義とは対照的に、【断ち】によって威力を1点増したそれである。
この一撃により、花冠は謀術以外の全分野を潰される。

しかし同じプロット3での同時行動であるため、次の花冠の行動では潰れた分野の特技も普通に使うことが可能なままだ。

【花冠】
浮足を。
2D6 >=5 (判定:身体操術)
【ダイス】
2D6 = [5,4] = 9 >=5 > 成功
【花冠】
ファンブらなかった。
【フィン】
ホッ

ファンブルしたら高所効果で1点食らって≪侵蝕≫効果で花冠の死亡が確定していた。

【浮足】は判定に成功すると、このPCの攻撃からの回避判定及び奥義破りに-2の修正がつく古流忍法。
戦闘中継続。正直っょぃ。

【花冠】
奥義をもう一度。
奥義破りは罠術から、浮足効果で-2がつきます。
【フィン】
ええと、逆鱗が発動しているから、+1がついて-1ですな

しかし神通丸を2個使っての2回の振り直しに関わらずフィンヴェナハは判定に失敗。
残り生命力が3点の状況で、このままでは脱落すると兵糧丸で忍術を回復したフィンヴェナハに3点のダメージ。
最終的に体術のみが残る。

ここに来て、花冠、フィンヴェナハ、双方残り生命力1点となる。

【花冠】
罠が落ちる。
高い木々へと誘導したのも、
自らを切り刻ませたのも全て含め、
経験を積んだマタギの罠。
【フィン】
花冠に組み付き、咬合に気をとられていた竜は反応できず 身を再び大きく刻まれる
【花冠】
降り落ちる銀糸は縫い止めた竜の身体を、
自分ごとに引き裂いて木を割った。
「っ――は、はッ」
自分の身体ごと刻んだ鋼鉄は、それでも傷痕だけは掠めもしない。
【フィン】
「……っ」 呻き声を上げることもせず、身体を切り裂く銀糸に身を強張らせる
傷は大きく開き 血を滴らせている
【花冠】
木ごと身体ごと刻んで拘束を抜ければ、
満身創痍ながら着地して血潮を垂らす。
【フィン】
口から赤黒く濁った血を吐きながら 竜が吼える
「貴様… やはり、買い被りなどではないだろう…」
【花冠】
最早全身に真新しい傷痕を作って、それでも胸元の傷を綺麗な、醜いまま残しているのは、
「……どうか、ね。俺もお前も、満身創痍だ」
狩人の技巧の為せる技か。

【フィン】
「まだ、続けるつもりか? 本当に、どちらかが死ぬぞ?」
【花冠】
「お前は死なんよ」
「俺ごときに、お前が殺せたものか」
【フィン】
「バカな… 貴様だからこそ、出来るのだろう」
【花冠】
瞼を伏せた。伝い落つ赤に白さを増した頬に、死人と見紛うばかりのそれ。
「……ひとつだけ、為さねばならぬを残している」
「フィンヴェナハ」
名を呼ぶ。
「俺に全てを、任せる気はないか?」
【フィン】
「それはなんだ、花冠」
「任せるだと、我が お前にか?」
【花冠】
「ああ。――全ての始末を」
「俺の、手に」
差し出した掌も指も、切り刻まれ食い破られて襤褸に近い。
【フィン】
「我は 他に従ったことなど、これまでの生において 一度切りとてない」
「例えそれが、同じ龍族であってもだ」 
【花冠】
「そうか」
【フィン】
「我は我のしたいように生き、食らい、蹂躙してきた 我に壊せぬものなど、何一つとてないのだ」

【フィン】
「だが…」
【花冠】
フィンを見る
【フィン】
「貴様をこれ以上壊すことは、我には適わぬことのようだ」
「爪一つ触れただけで貴様は崩れ落ち、同時に我が傷痕は、永遠に癒えぬものとなるだろう」
【花冠】
「手心を加えられたものだな」
【フィン】
「今の貴様のその命の傷の、他にどこを食らえばいいというのだ?」
【花冠】
「どうとでも。……俺の命が惜しいか? 貴様は」
【フィン】
「貴様の消えた灯火など要らぬ 我が欲するのは、貴様の命の源だ、花冠」
【花冠】
「……全く、俺自身を人質に取っているような気分だ」
一瞬だけふらついたが足を踏み締めて。
【フィン】
「そうだ、我には無いものだ お前を我が物とし、同胞とするのだ」
「貴様の言う結末とは、それとは遠いものか?」
【花冠】
「……俺の身など、どうとでもすればいいさ」
ただな、と首を振って、
「その前に済ませなければならないことがある。……それだけの話だ」
【フィン】
「………」 首をもたげ、花冠の様子を伺う
【花冠】
何を隠している様子もない。
ただ妙に穏やかで、悠然とフィンを見つめ返した。
「信じてくれ。……等というのは、」
自嘲に吐息に笑みを漏らして、
「些か虫が良いというか、情けない話だがな――」
【フィン】
「………」竜の大きな口からは、未だ赤い液が垂れ、滴り落ちている
【花冠】
落としかけた視線を上向けて、その赤に正面から相対する。
【フィン】
「良いだろう 我は今初めて、他のものを信じ、委ねてみようではないか」
「貴様の決断など 我には測りかねる それだけのことだ」
【花冠】
「フィンヴェナハ――」
その決断に数度瞬いてから、
「……何。つまらない話だよ。俺自身の、後始末に過ぎん」
【フィン】
爪を引き、牙を引っ込め、座り込む
「よかろう、貴様の好きなようにしてみろ」
【花冠】
「ああ」
その傍へと歩み寄って目を細めれば、
「――すぐに、終わる」

フィンヴェナハはここで戦闘からの脱落を宣言。
クライマックスフェイズの勝者は一人残った花冠となり、本来ならこのまま戦果を宣言する段に入るのだが――

【花冠】
回想シーンを。
【GM】
はい

秘密:花冠(再掲載)

手負いの獣が如何に恐ろしい存在となりうるか、あなたは良く知っている。
この一帯のヌシと言っても過言ではない存在であるフィンヴェナハがどうなるか、想像に難くない。
あなたが暮らす小さな山里などひとたまりも無いだろう。
あなたの本当の使命は『山里を守る』ことである。

フィンヴェナハを手負いの獣にしてしまったのは、あなただ。
不始末は自分の手で片付けなければならない。
クライマックスの戦闘でフィンヴェナハに勝利し、フィンヴェナハに止めを刺すことを宣言しなくてはならない。
 
凄腕の猟師であるあなたは、限定不死の能力を持つ相手に対しても、生命力を0以下にするダメージを与えることが出来る。

【花冠】
猟師の仕事に半端は許されない。
手負いの獣はそれだけで牙を備え暴れ回り人を喰らう強大な存在になると、この身はよく知っている。
――だから。
糸を引き絞ったその瞬間から、刃を交わしたその時も、刀を収めて陽光に語らったその時でさえ、
自分の手で始末を付けるものであると、揺るがぬ確信と責務を胸に抱えていた。
だのに。

『花冠よ、我がものとなれ 貴様の子を、我が生み育て、何者にも負けぬ存在しとしてくれる』

何を馬鹿げたことと思った。
龍族は人では到底敵わぬ知能を備えていると聞くが、一周して愚昧と化しているのかと、そう疑いさえもした。
 
「……全く」
落とす笑みからは自嘲は消えて、
むしろ状況を楽しむかのよう。
「これだから分からぬものだ――隠忍という、生き物は」
そうしてただ一振り残った武器を、
白刃を抜いて燦かせた。

【花冠】
+3いただけます?
【GM】
いいですよ。
【フィン】
えっ? 何の?

【花冠】
2D6+3 >=7 (判定:罠術)
【ダイス】
2D6+3 = [1,4]+3 = 8 >=7 > 成功

【花冠】
自分が罠で傷つけた傷だから。
その根源となる一撃がどこにあるか、
その身に食い込み今も苛む刃のどれが、彼女の中核を縛っているのか、
そんなことは手に取るように分かるのだ。
 
GM、情報を公開しても?
【GM】
はい。では、情報を公開します。
【フィン】
お、お

プライズ『傷痕』の解除条件

この情報はプライズの保持者以外がプライズの情報を知ったときに提示される。
 
1.プライズの保持者を脱落させる。
2.プライズの保持者以外の者が「医術」「香術」「呪術」のいずれかの判定に成功する。
  └プライズを無効化する方法を説明出来るなら、上記3つ以外の好きな特技を指定しても良いものとする。
3.戦果として「プライズの除去」を指定する。
 
この方法でプライズを破棄した場合、プライズの元の所持者は妖魔化の制御判定に自動成功したものとして扱う。
 
尚、指定された3つの技能のうちいずれを使うかによって無効化の方法が若干変化する。
プライズを無効化する方法を説明出来るのであれば、プレイヤーが任意の特技を選択しても良い。
 
・医術……外科手術的な治療により、プライズ『傷痕』は完全に失われる。
・呪術……呪術的な儀式により、プライズ『傷痕』はPC1の身体に転移する。
・香術……特殊な香で痛みが麻痺したことにより、プライズ『傷痕』の効果が一時的に無効化される。
 
いずれの場合も、技能判定に成功すれば、今回のシナリオでは忍務達成したものとしてみなされる。

【花冠】
戦果として、
「プライズの除去」を指定しましょう。
【GM】
OK、ならばプライズ『傷痕』はフィンヴェナハの身体から除去されます。
フィンヴェナハさんはこれで使命達成条件を満たしました。
制御判定は自動成功とみなされます

【花冠】
自分が叩き込んだ刃の欠片へと、刀を滑らせ指先で抜き取る。
全身に浴びたと流した血の区別も付かない状態で刃を握って、
「――ほら」
「俺に任せてよかったろう?」
そう、笑った。

【フィン】
幾度も激痛を齎し、フィンヴェナハの脳裏に様々な思考を生み濁らせた痛みが、体から消えた
「―――これも、貴様がやったのか?」
さすがの竜も、呆気に取られ 刃が食い込んでいた箇所と花冠の顔を幾度も交互に見る
【花冠】
「どうだと思う」
戯けたように笑い返せば、安堵に目眩に膝を折る。
とすりと座り込んで。
【フィン】
「―貴様以外には居らんな ……この我を、幾度も驚かせるような輩は」
「まったく… 大したものだ」
【花冠】
「……何度も言うが、買い被りすぎだ――」
ぼたぼたと血を落として、その姿は最早弱々しい。
【フィン】
傷に満ちていた濁りは引き、再び生気が満ちる
「次は貴様が治療される番だな だが、その傷では歩けまい」
【花冠】
対照的に血を流して、倒れないのがやっとと言ったところ。
「……所詮、人の身だから、な」
繰り返して言い笑った。
【フィン】
「人の身であればこそだ」
「我が背に乗せてやる そして治療をしてやろう こんなことも、生まれてこの方、初めてのことだ」
【花冠】
「それ、は」
「光栄な、話だ、な――」
そう返したところで意識が落ちる。
横ざまに倒れ伏し、死人のように掌を投げ出した。
【フィン】
「貴様には、未だ死なれるわけにはいかぬ」
倒れ落ちそうになる花冠を支え、これを受け止める
【花冠】
ひどく軽い。
【フィン】
先ほどまで罠と弓を操る掌に触れ、その繊細な作りに関心するも、すぐさま彼を背に乗せ 向かう
【花冠】
相当に消耗しているのか、意識を取り戻す様子はなく。
【フィン】
かの住処には、自らの傷の治療に用いた薬草がたん溜め込んである 内部も清潔さを保たれている
今まで想像もしなかったほどの 繊細さと、慎重かつ、素早い歩みを以て 竜は森の中へと姿を消した。
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